ゲーム音楽を良い音で聴きたい!という方はとても多いと思いますが、殆どの方はどのヘッドホンを選んだらいいのかわからないと思います。おそらく、予算とデザインでなんとなく決めてしまっていることが殆どではないでしょうか?
ヘッドホンを選択するのにあたってたくさんの要素があり、用途、形状、好きな音が鳴るか等により選ぶヘッドホンが大きく異なってきます。今回、ヘッドホンを選ぶ上で必要な知識を説明していきます。当たり障りのないことばかり書くと面白くないので、各項目の最後にmozellの偏った好みを盛り込んでみました。mozellの好み全開で書いていますので怒らず大らかな気持ちで見てくださいね…!
※ここで言うゲーム音楽は「ピコピコした音楽~mozell曲のような音楽」ということにします。
ヘッドホンの用途
ヘッドホンの用途として、「リスニング用」「モニター用」「ポータブル用」「DJ用」があります。
リスニング用
純粋に音楽を楽しむ為のヘッドホンです。このヘッドホンが最も多く、それだけに特徴も様々です。ちなみに「モニター用」だけど「リスニング用」にも使えるといった、複数の用途で使えるヘッドホンもあります。
モニター用
音楽製作者が音を確認する為のヘッドホンです。主にレコーディングスタジオでプロが使ったり、DTMer(パソコンで音楽を作っている人)が自宅で曲を作っている時に使います。小さな音や、各楽器の分離感、音の定位(左側で鳴っているなどの音の位置のことです)、思った通りに鳴っているかなど、音のチェックをするのが主な用途です。音はフラット(低音~高音域まで平均的に鳴る)で、変な癖が無く、分解能(音の分離力や繊細さの表現)が高めといった特徴があります。
ポータブル用
持ち運びができ、通勤通学時など外で音楽を楽しむ為のヘッドホンです。折りたたみができたり、コンパクトなものが多いです。ファッションの一部として使われることもあります。音質的にはリスニング用に劣る傾向があります。
DJ用
片耳だけヘッドホンを当てられるようハウジング(ヘッドホンで耳にかぶせる所全体)が反対側に回転したり、遮音性が高く、DJプレイに特化したヘッドホンです。
mozellの好み
ゲーム音楽に適していると言いますかmozellの好みではリスニング用かモニター用(リスニング用にもなるもの)で、通勤通学時にしか聴かない場合はヘッドホンを諦めてイヤホンにします。
ハウジングの形状
ハウジングとはヘッドホンで耳にかぶせる所全体を指します。「密閉型」「開放型」の2つがあります。
密閉型(クローズド型)
ハウジングが密閉されているヘッドホンです。ぱっと見、ハウジングの外側(耳に当たっていない外側の方)が蓋されていればほぼ密閉型です。音漏れしにくく、また外部からの音も遮断できますので屋外でも使えます。密閉されたハウジング内に低音が残りやすく、十分な低音が出ます。硬質な音です。
開放型(オープン型、オープンエアー型)
ハウジングが密閉されていないヘッドホンです。ハウジングの外側(耳に当たっていない外側の方)がメッシュ状になっていたりして空気が通る(音が外に抜ける)ようになっています。音漏れするため屋内向けです。音がハウジング外に抜けていく構造になっているため、音の空気感の表現に強く、高音が特にクリアで、また全体的な音質もクリアです。その反面、低音が不足する傾向があります。軟質な音です。
mozellの好み
ゲーム音楽には弾力のある硬い音の方が向いていますし、低音もしっかり出る密閉型が断然オススメです。長時間自然な音で聴きたいという場合は開放型も良いんですが、音の迫力でいうと密閉型より劣ります。
ヘッドホンの周波数特性
周波数特性とは、低音域がよく出る・出ない、中音域がよく出る・出ない、高音域がよく出る・出ない、といった特性のことです。「フラット」「ドンシャリ」「かまぼこ」の3種類があります。ヘッドホンから出る音の特徴そのものになりますので、用途意外の部分では最も重要視するべき部分だと思います。mozellオリジナル曲「バンバード ~Piano Version~」で「フラット」「ドンシャリ」「かまぼこ」のサンプルを用意しましたので是非聴き比べてみてください(フラットは原曲そのままで何もしていません)。サンプルは音の変化がわかりやすいようにかなり極端に音を変えています。
フラット
低音域、中音域、高音域まで全てが平ら(フラット)な音です。どのジャンルも味付けなく再生できるので万能です。モニター用ヘッドホンはこのフラットに調整されているものが殆どです。例えば、「フラットだが低音がやや強い」ものがあれば「低音寄りのフラット」のような言い方をします。
ドンシャリ
低音域と高音域が強い音です。低音が「ドン!」、高音が「シャリ!」と聴こえる為ドンシャリと言います。迫力が出ます。刺々しく耳に刺さるような音です。ロックにぴったり。
かまぼこ
中音域が強い音です。ドンシャリの反対です。中音域にはボーカルの声やギターの音の成分が多くある為、そのような音がよく聴こえます。少しラジオのような音になり、耳に優しく聴きやすい音です。クラシックにぴったり。
mozellの好み
フラットに近いものが最高です。また、高価格帯のヘッドホンになるほどフラットに近いヘッドホンが増えてきますので、必然的に良い音を求めるとフラット寄りのヘッドホンになるような気がします。ちょっとした味付けで低音や高音を調整したい場合は、音楽プレイヤー側のイコライザを使うことで解決します。ちなみに最初はドンシャリが大好きだったのですが、最終的に音に疲れてフラットが一番好きになりました。
ヘッドホンのスペック
メーカーサイトや通販サイトの商品ページを見るとヘッドホンのスペック(性能)が書かれてあります。このスペックを見ても周波数特性など音の特徴はわかりませんが、主にわかるのは「低音域から高音域、どのくらいの範囲を再生できるのか」と「音楽プレーヤーにヘッドホンを接続した時に音量が取れるかどうか」です。ここでは「再生周波数帯域」「出力音圧レベル」「インピーダンス」の説明をします。
再生周波数帯域
上でフラット・ドンシャリ・かまぼこの「周波数特性」の説明をしましたが、それとは全く別で、「低音域から高音域、どのくらいの範囲を再生できるのか」を表しています。例えば「10~22,000 Hz」でしたら、10 Hz(低音)~22,000 Hz(高音)までの音がヘッドホンから出ますという意味です。ちなみに人間の耳は「20~20,000 Hz」までしか聴こえないと言われていますので、この範囲をカバーできていれば問題はありません。しかし、現在は「ハイレゾ」というCD音質を上回る規格が出てきており、ハイレゾの音楽データを再生するためにはハイレゾ対応のヘッドホンである必要があります。ハイレゾ対応のヘッドホンの条件としては「再生周波数帯域のMAXが40,000 Hz以上」となっています。
出力音圧レベル
この数値が大きいほど、一定のボリュームで大きな音が出ます。
インピーダンス
この数値が大きいほど、一定のボリュームで音が小さくなります。例えば、mozellのノートパソコンに「40Ω」のヘッドホンを接続した時、ボリューム30%でうるさくて聴けない音量になるのですが、「470Ω」のヘッドホンを接続した場合、ボリューム50%まで上げないと同じ音量にならないというものです。
mozellの好み
ヘッドホンのスペックは全く気にしていません。気になるのはここに書いていませんが重さくらいです。インピーダンスが高いとポータブル音楽プレーヤーで音量が出せないとよく言われていますが、ボリュームを大きく上げると十分な音量になるケースが多いことと、どうしても音量が足りなければポータブルのヘッドホンアンプを導入することで解決しますし音質もアップします。
ヘッドホンの分解能
分解能とは、実はうまく説明できるか自信がないのですが、音の分離力や繊細さの表現力のことで、誤解を招く可能性がありますが簡単な言葉を使うと「高音質さ」という言葉がわかりやすいかなと思います。「リアルさ」と言ってもいいかも知れません。この分解能、メーカーサイトや通販サイトの商品ページには書かれておらず、すでに所有している人の情報を見たり、自分で聴いて判断するしかありません。基本的には値段の安いヘッドホンの分解能は低く、高いヘッドホンほど分解能は高くなります。5000円のヘッドホンが10000円のヘッドホンより分解能が高い場合もありますが、基本的にはヘッドホンの価格に比例して分解能は高くなります。
分解能の違いがわかるサンプルを作成しましたので、是非聴いてみてください。サンプルはMP3の圧縮率を変えただけで、本来の分解能を説明するデータとしては不適切かも知れませんが、違いはわかりやすいと思います。
5000円クラスのヘッドホン(分解能:中くらい) サンプルDL
10000円クラスのヘッドホン(分解能:高い) サンプルDL
20000円クラスのヘッドホン(分解能:めっちゃ高い) サンプルDL
mozellの好み
20000円クラスくらいの分解能は最低限欲しいです。5000円(または10000円)クラスから20000円クラスに乗り換えた時の分解能の差は大きくてハッキリわかるものですが、その差と比べて20000円クラスからそれ以上のクラスに乗り換えた時の分解能の差は少なくなります。そういう意味でも20000円クラス以上のヘッドホンを使ってゲーム音楽は聴いてもらいたいなと思います。
まとめ:ゲーム音楽にオススメのヘッドホン
以上、ゲーム音楽に最適なヘッドホンを探す上で少しでも参考になりましたでしょうか?当たり障りのない説明だけだと面白くないですし頭にも入ってき辛いと思いましたので、mozellの偏った好みを取り入れてみましたが、そのまま鵜呑みにせず、むしろ「そうじゃないよ!私の好みはこうだから、こういうヘッドホンが欲しいんだよ!」というような目で見て頂き、皆さんの最高のヘッドホンを探す一つの目安になってくれれば良いなあと思っています。
最後にmozellの好みを纏めますと、
- リスニング用かモニター用
- 密閉型
- フラットな音
- 分解能が高め
- 20000円クラス以上
こうなるのですが、これを満たせそうなヘッドホンを最後に紹介したいと思います。
…が、すみません!mozellの知識不足で、今も販売されているヘッドホンの場合、満足に紹介できるヘッドホンがありません…!そこで「密閉型」ではなく「開放型」で紹介させて頂ければと思います!「開放型」になるので、ゲーム音楽に適しているかというとちょっと遠のいちゃうんですが、是非参考までに!
AKG ( アーカーゲー ) / K701
まず、AKG(アーカーゲー)のK701!
タイプ:開放型
周波数特性:フラット
分解能:★★★★★
参考価格:16000円~23000円(昔は40000円くらいしたAKGの最高峰のヘッドホンだった)
参考最安:15874円 サウンドハウス
このK701、mozellがヘッドホンスパイラルに陥った13年前、当時開放型の最高峰「ゼンハイザーHD650」と双璧をなす存在かつAKGの最高峰のヘッドホンで、価格は当時40000円くらいでした。しかし、今調べたらなんとサウンドハウスで15874円…!死ぬほどビックリしたんですが、何が起きたんでしょう…。この価格だとコスパ良すぎでしょう。40000円クラスの音がゲットできる筈です。
実はこのヘッドホン、アニメ「けいおん!」好きならご存知、澪がつけていたヘッドホンで「澪ホン」という愛称で呼ばれています。Amazonだと20000円(税込)ですが、サウンドハウスが最安で15874円なので、サウンドハウスがオススメです。しかし安すぎる…何があったんでしょうホントに。
SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / HD650
次に、SENNHEISER(ゼンハイザー)のHD650!
このHD650、これも13年前くらいのゼンハイザーの開放型最高峰のモデルです。価格は当時から殆ど変わっていません。今はHD800など上位機種が出ていますが、それまではこのHD650がゼンハイザーのトップに君臨していました。
audio technica ( オーディオテクニカ ) / ATH-R70x
次に、audio technica(オーディオテクニカ)のATH-R70x!
タイプ:開放型
周波数特性:フラット
分解能:★★★★☆
参考価格:34000円~41000円
参考最安:33890円 Amazon・サウンドハウス
実はこのATH-R70x、つい先日購入したばかりです。いろんな方のレビューを見ていたら、べた褒めの内容が多かったことと、その中で上記HD650と比べてATH-R70xの方が好きという方がいらっしゃって、それで我慢できずに購入してしまいました。分解能は上記2機種と比べたら少し劣る感じですが、非常に音のバランスがよく、開放型の音にしては音の締まり具合もほどほどにあり、また開放型の弱点の低音も十分に出ています。mozellはATH-A900Ti(低音寄りのフラット)という密閉型のヘッドホンが大好きで、もう発売されていないATH-A900Tiの代わりになる得るヘッドホンをずっと探していて、ATH-R70xがそうならないかという淡い期待もあったのですが、全く同じではないにしろ周波数特性は似ているように感じます。どうしても密閉型と開放型の違いで、密閉型の特徴である弾力のある硬質な音と比べて、自然な空気感溢れるふわっとした音なのですが、音の締まり具合はなかなかのもので、上記2機種よりゲーム音楽に適しているのではないかと思います。元々ATH-R70xはモニター用なのですが、リスニング用の側面も持っており、ちょうどモニター用の良さとリスニング用の良さをミックスさせたようなヘッドホンです。そして、人によってはヘッドバンドの長さが足りない方もいらっしゃるようですが、装着感はとても良く、オーテクのヘッドホンの特徴であるウイングサポート(ヘッドバンド下の左右についているサポーター)のおかげで自然にフィットしてくれます。
まだ購入して2日しか経っていないので、暫く使った後、また紹介できたらなと思っています。今の所、大満足!
まとめ
最終的に密閉型のヘッドホンの紹介ができませんでしたが、この記事が何かのキッカケになり、皆さんの最高のヘッドホンが見つかることで、ゲーム音楽ライフがより一層充実することを願っております!
また、違うオススメのヘッドホンの記事もあります。よかったら見てみてください。